2008年Kaufmann(カウフマン)により生を受けたこのチェロ・アンサンブルで、彼はウィーン・フィルの一員として長いこと持ち続けてきた希望をかなえた。彼の夢はクラシックの枠を超えた、といっても高い芸術的要求をあきらめることのないチェロのアンサンブルだ。聴衆には、完璧な演奏や有名なクラシックだけを聴くのではなく、コンサートを楽しんで上機嫌で家路についてほしい。このようなわけで、このアンサンブルのコンサートは新しいコンセプトで制作される。前半は音楽史のうえで重要な作品を全く新しい編曲で、後半はエンタメ的に構成し音楽にあるいは舞台と音楽的なギャグを加え、魅力とユーモアに満ちたステージを繰り広げる。Kaufmannは自らコンサートの案内役を勤め作品の解説に止まらず、音楽の美しさやおいしさを案内する。彼らのレパートリーの中核を成すのは4人で演奏されるラヴェルの“ボレロ”で、「困難な課題と新たな愛の関係」と題してユー・チューブに上げられるや、既に120万回を超えるclickを獲得している。ドイツ語圏のみにとどまらず、北京や上海といった中国の都市でも大歓迎され、日常的に招待されるまでになった。2017年5月に初来日公演を京都、三田(兵庫)で果たした。好評を得て、2019年2月福岡シンフォニーホール、東京サントリーホールデビュー公演実施、京都コンサートホール再演でさらに人気を不動のものとした。2018年ウィーン・フィルのニューイヤーーコンサートの日本語による解説以来、毎年のニューイヤーコンサートですっかりお馴染みとなったヘーデンボルク直樹をはじめ、ウィーン・フィルの若手ホープ、セバスティアン・ブルー等の演奏が大いに期待される。
◎セバスティアン・ブルー Sebastian BRU
1987 年ウィーン生まれ。8 歳よりウィーン・フォルクス・オパーの首席であった父のもと チェロをはじめる。数々の青少年コンクールに優賞した後 2010-11 年のシーズンからウィ ーン交響楽団の第 1 ソロ・チェリスト。その間、ウィーン交響楽団、ウィーン室内管弦楽 団、ブエノスアイレスのナショナルオーケストラのソリストとして、ヨーロッパはもちろ んのこと南米やアジアも訪れた。2006 年ウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団。2013 年よ りウィーンフィル・メンバー。
◎フローリアン・エックナー Florian EGGNER
リンツ近郊に生まれた彼は、7歳でチェロをはじめる。1990 年にはブルックナー音楽院に 入学し、1997 年にはウィーン・アカデミーでウィーンフィルの前首席ウォルフガング・ヘ ルツァーとシュテファン・クロプフィッチュに、後にザルツブルク・モーツァルテウムでク レメンス・ハーゲンに師事した。コンクール入賞歴としてはプリマ・ラ・ムジカ 1996 第 1 位、ペルチャッハの国際ブラームス・コンクール 1999 年第 1 位、メルボルン国際室内楽コ ンクール 2003 年第 1 位。
◎ベルンハルト直樹ヘーデンボルク Bernhard HEDENBORG
1979 年ザルツブルク生まれ。ハインリッヒ・シフ 10 年にわたり師事する。その後、ダヴィ ド・ゲリンガス、ザラ・ネルソヴァ、ミクローシュ・ペレーニらのもとで研鑽を積んだ後、 室内楽をジェルジュ・クルターグ、アルバンベルク弦楽四重奏団、アマデウス弦楽四重奏団、 アルティス弦楽四重奏団、ハーゲン弦楽四重奏団等に師事した。2008 年から 2011 年までト ーンキュンストラー・オーケストラで首席奏者を勤めた後ウィーン国立歌劇場管弦楽団に 入団。2014 年よりウィーンフィル・メンバー。
◎ミラン・カラノヴィチ Milan KARANOVIC
1980 年ベオグラード生まれ。8 歳でチェロをはじめ、2005 年同地の音楽アカデミーを卒業。 2006 年までウィーンで学ぶ。ロストロポーヴィチ、マイスキー、マルティン・レアーらの マスタークラス。イタリア、ベルグラード、ウィーン、ドレスデン等多くのコンクールで1 位。2010-11 年バイエルン放送管弦楽団の次席奏者、2013-14 年ザルツブルク。モーツァル テゥムの次席奏者、2016 年よりウィーン室内管弦楽団のメンバー。
◎ゲルハルト・カウフマン Gerhard KAUFMANN
1943 年オベルシュッツェン(オーストリア)生まれ。父はピアニスト、合唱指揮者、音楽教 師養成学校教授。4 歳でピアノをはじめ 18 歳まではピアノ演奏家になるべく励む。13 歳 のときチェロに初めて触れ 15 歳よりフィラッハの音楽学校でチェロを学び、18 歳でウィ ーンのアカデミーで音楽教育学、指揮法、作曲、チェロを学んだ。1969 年ウィーン国立歌 劇場管弦楽団に入団。1973-2008 年ウィーンフィル・メンバー。
◎カリン・ボネッリ (フルート) Karin BONELLI (Fl)
オーストリアのグリースキルヒェン生まれ。室内楽演奏に非常に熱心で‘ウィーン木管五 重奏団’および室内オーケストラ‘クラン・コレクティヴ・ウィーン’の創設メンバー。 グラーツ音楽大学、ウィーン音楽大学で教鞭をとっている。カリン・ボネッリの叙情的な 演奏は「歌うフルート」と称されている。女性として木管楽器で最初に 2012 年ウィーン 国立歌劇場管弦楽団に入団。2015 年よりウィーンフィル・メンバー。