81歳のピアニスト。常に新鮮な視点で演奏芸術の可能性を広げ、不動の地位を築いた。豊かな叙情をたたえる演奏は、世界中の幅広い層の聴衆から熱い支持を得て、深く愛され続ける。2002年に脳溢血で倒れ右半身不随となるも、「左手のピアニスト」として活動を再開、独自のジャンルを切り開いた。“舘野泉の左手”のために捧げられた作品は、10ヶ国の作曲家により80曲にも及ぶ。長年に渡る地道な活動が評価されて17年ミュージック・ペンクラブ音楽賞受賞。もはや「左手」のことわりなど必要ない、身体を超える境地に至った「真の巨匠」の風格は、揺るぎない信念とひたむきな姿がもたらす、最大の魅力である。