いつになく緊張しているガル部長...なぜなら最後のとつげき取材の相手は、あの、マエストロ・スダーンだからです!
ガル:ドキドキ…ガルのこと、きっと忘れちゃったよね…(部下の後ろでモジモジ)
部下:(もうっしっかりしてくださいよっ)マエストロ・スダーン、今日はよろしくお願いします。こちら、音楽祭の宣伝部長で…
スダーン:もちろん覚えていますよ!マスコットキャラクターのガルガンちゃんでしょう。
すっかり嬉しくなったガル部長、インタビューをする勇気が出たようです!部下はホッと一安心でいったん後ろへ下がります...さあ、部長、何を聞いてくれるのでしょうか?
ガル:
マエストロ、「北欧とロシアの音楽」、ガルは勉強すればするほど、北欧にもいろんな国があって、ロシアにもいろんな文化があるんだなって思い始めたガルよ…
スダーン:
その通りですよ、ガルちゃん。ロシアにはロシアの、ノルウェーにはノルウェーの、スウェーデンにはスウェーデンの、それぞれ誇るべき文化がある。あらゆる音楽は、(その音楽が生まれた土地の)フォルク・ミュージックや文化の中に息づいているのです。例えば…ガルちゃん、ノルウェーといえば?
ガル:
グリーグさん?
スダーン:
そう。ベルゲン(グリーグの生まれ育った都市)シンフォニーオーケストラを指揮した時、私はグリーグの家—そこで作曲をし、亡くなった家(注:トロールハウゲン)に幾度となく赴きましたよ。ガルちゃんはトロールを知っていますか?
ガル:
あっ、妖精ガルね?北欧に昔から伝わる物語だって聞いたことあるガル!
スダーン:
そう。そこはまさにトロールの物語が息づく場所なのです。
この「風と緑の楽都音楽祭」では、「その国のフォルク・ミュージックとは如何なるものか?その音色はどんな響きを持っているのか?」を感じることができる。すべての国は異なる歩みを経て今があり、だからこそ固有の「顔」を持っています。その「顔」とは、その大地を形作る山々、湖…音楽の基本要素とは、自然のなかに存在しています。
音楽祭のプログラムを見て、きっと多くの人が「この国はどのような場所なのだろう?」と感じるでしょうね。そして作曲家たちの目に映った風景が映画のように浮かび上がるはずです。シベリウスのフィンランディアなら、広大な大地に生きる孤独、静寂、そびえ立つ山々。そこで生きることの難しさ…
ガル:
北欧といえば自然がきれいってだけ思ってたけど、そっか、そこで生きる人を忘れちゃダメガルね…
スダーン:
2年前、私たちはベートーヴェンというテーマを取り上げましたね。あの時私は、なんと素晴らしい雰囲気がこの音楽祭の場に流れているのだと感じました。
最も大切なこと、それは、人々がコンサートへ行き、他の人々に出会い、共に楽しもうとすること。それはテーマがベートーヴェンでも、モーツァルトでも、そして「北欧とロシアの音楽」でも変わらないこと。共にこの大きなイベントを経験し、喜びを分かち合いましょう。
ガル:
なんて嬉しいお言葉ガルか…
ガル:
ところでマエストロ、音楽祭ではジュニアオーケストラの公演があったり、子どもたちもたくさん活躍するガルよ。子どもの頃からオーケストラに入って演奏するって、どんないいことがあるガルか?
スダーン:
私が初めてオーケストラで演奏をしたのは7歳の時。音楽祭は大変ソーシャルなイベントです。友人から学び、友情を育み、共に音楽を作り上げる。とても社会性を必要とすることですよね。もし音楽を好きで、オーケストラで演奏することを決めたのであれば、音楽祭はとても素晴らしい出会いの場になるはずです。
ちなみに私には二人の友人がいるのだけど…私が12歳の頃からオーケストラで一緒に演奏し、いろんなことを語り合ってきた間柄。3人とも年齢を重ねたけれど、今でも良い友人なのですよ。
ガル:
ジュニアオケのみんな!合唱のみんな!吹奏楽のみんな!友達いっぱい作ってガル!!!
スダーン:
ところで…ジュニアオケではくるみ割り人形の行進曲を演奏するんですね。チャイコフスキーのレパートリーの中でも、とても難しい曲ですよ。ポンッ ポンッポ…(歌ってくださる)
ガル:
ガルも知ってる!かわいらしいメロディーガルね♫
スダーン:
これ、とっても難しいんですよ!素晴らしいチャレンジだ!
ガル:
み、みんながんガルガンよ...!友達もいっぱいつくりながら、がんガルガンよっっっ!
ジュニアオケの演目にあるシベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」はシベリウス自身による録音の存在する曲。マエストロはぜひ、このオリジナル音源を聴いてみてほしい、ともおっしゃっていました。多くの場合4分台で演奏されるこの曲、シベリウス自身の演奏は6分なのだそうです!
ガル:
…もう一つ、勇気を出して質問したいガル。マエストロはどうやって指揮者になったガル?
部下:
マエストロは最初、ホルン奏者を目指されていたと伺いました。
スダーン:
そう、素晴らしいオケで演奏していましたよ。でも、私の運命は突然、その向かう方向を変えたんです。私が通っていた音楽高校の校長先生に「君は指揮者コースで学ぶべきだ」と言われ、さらに指揮者コースに進むとやはり教授が「君は指揮の道に進むべきだ」と。それが最初の始まり。そこから徐々に勉強して今現在があり、今もなお学び続けている。いや...現在の方がより、学ぶべきことが多いと感じていますけどね。昔は若かったから...(苦笑)
ガル:
運命ってどうなるかわからないガル…きっと、ジュニアオーケストラのメンバーの中にも、指揮者になりたいと思う若者がいるガルね!
スダーン:
もちろん!いや、すべての音楽家は指揮者を目指すものだよ。多くのソリストに出会ってきたけれど、彼らの多くが指揮を志したいと言っていましたね。なぜなら、自ら思い描く音楽のヴィジョンをその場に繰り広げることができるのだから。指揮はこの世界で最も魅力的な、美しいプロフェッショナルな仕事のひとつですよ。
ガル:
やっぱりガルも指揮者になりたいガルーっ!まずは音楽祭でいろんな人とお友達になって、音楽がこんなに素晴らしいものなんだって喜びを分け合うガルよっ♫
マエストロ・スダーンをはじめ、超一流の指揮者が集まる音楽祭。私たちはその美しいヴィジョンの目撃者になろうではありませんか!さあ、音楽祭の開幕です!