ガル部長のお勉強もいよいよ後半戦! 今回はヴァイオリニストである大村さんだからこその視点で、「究極の音楽の世界」を語っていただきます。前置きは早々に、大村さんの熱い講義が始まったようですよ…?二人の会話をこっそり覗いてみましょう!
大村:
ガルちゃん、大編成のオーケストラは極彩色のパレットだって話したのを覚えているかい?(ガル部長のお勉強第一弾)
ガル:
もちろんガル!
大村:
では、その真逆の世界、例えていうなら水墨画の世界を紹介しよう。
ガル:
水墨画?白と黒…?和風ってこと…?
大村:
いやいや、弦楽四重奏のことだよ。僕は今、オケから弦楽四重奏に軸足を移して、金沢蓄音器館という所で演奏活動をしているんだ。モーツァルトの弦楽四重奏曲全曲からスタートして今までに45回のコンサートをしてきたけれど、弦楽四重奏の素晴らしさ、そして難しさに関しては、語りつくせないくらいだよ。
ガル:
えっと、弦楽四重奏は、ヴァイオリンが2人、ヴィオラとチェロがそれぞれ1人ガルね。
大村:
正解!たった4人、しかも等質な4つの弦楽器というとてもシンプルな素材を使って描き出す音楽。想像してごらん。4つしか音がないということは、ほんのわずかなズレが致命的な事故に繋がる、演奏する側にとってはとっても難しい世界なんだよ。
ガル:
はっ…ほんとだ。
大村:
例えていうなら、オケはジャンボ機のようなもの。1回のフライトで必ずいくつかの故障はあるが、多少の事はあっても、墜落はしないようになっている。でもね、弦楽四重奏は違う。音がほんの少しずれただけで、存在すべきものが存在しなくなってしまうんだ。
ガル:
飛行機だったら飛べない!
大村:
その通り。4つの声部、どれを足しても引いてもだめという世界。世界的な弦楽四重奏団といわれる団体は、完全な調和、つまり宇宙そのもののような、音楽の奇跡を繰り広げているんだよ。
ガル:
それが、ボロディン弦楽四重奏団ガルね!
大村:
そう。奇跡中の奇跡といって差し支えない弦楽四重団が、僕たちが住むこの金沢にやってくるんだよ。
部下:ボロディン弦楽四重奏団は1945年結成と大変歴史のある団体なのですね。「室内楽の開拓者」と言われるボロディンにちなんだ名前とか。ショスタコーヴィッチからも作曲の相談を受けたと聞きました。
大村:
そう。音楽史を創り上げてきた、まさに音楽の世界遺産だよ!
ガル:
あっ。曲目にそのショスタコーヴィッチさんの弦楽四重奏曲が入ってる!ガル思ったんだけど、4つの音だけで音楽を作るって、きっと作曲家さんにとっても難しい挑戦ガルね…?
部下:
そうそう!私調べたんです!もう一つはハイドンの作品ですよね。ハイドンは「弦楽四重奏の父」、そして「ロシア四重奏曲(Op.33)はハイドンにとっての音楽上の実験とも言える、当時としては革新的な作品なのだとか。
ガル:
弦楽四重奏っていう音楽の挑戦の歴史を、音楽の世界遺産・ボロディン弦楽四重奏団が紐解いてくれる…これってガル祭の奇跡ガルね!
大村:
うまいこと言うね、ガルちゃん。でも本当に、こんな素晴らしい機会は滅多にない。僕たちもその奇跡の目撃者にならなきゃいけないね。
音楽祭ってなんて、なんて、なんて贅沢な公演ばかりなのでしょう!
金沢にいながらにして、世界の音楽の歴史を間近で体感することができるなんて。音楽の世界遺産を、私たちのこの耳でしかと聞いておかねば...
3月5日(火)現在、文中でご紹介しているA33の公演は残席わずかでございます。皆さまどうぞ、この機会を聞き逃されませんよう!
文中の公演はA33、下記一番上です。
その他にもボロディン弦楽四重奏団の公演がございますので、日付の早い順にご紹介いたします。こちらもぜひ!