ガル:
うーんうーんうーん...
ガル部長、デスクでプログラムを見つめて唸ってばかりです。どうしたのでしょう...
すると、優しくガル部長を覗き込む大村俊介さん。大村さんは1989年からオーケストラ・アンサンブル金沢(以下、OEK)のメンバーとして活躍されたヴァイオリニストであり、現在は音楽活動のかたわら石川県音楽文化振興事業団でOEKを支えていらっしゃいます。
大村:
ガルちゃん、いったいどうしたんだい?
ガル:
『北欧とロシアの音楽』、どうやって勉強したらいいかさっぱりわからないガルよ...
それもそのはず、一昨年はベートーヴェン、昨年はモーツァルト、一人の作曲家に焦点をあててきた音楽祭ですが、今年のプログラムには聞き慣れない作曲家・曲名がたくさん並んでいます。
大村:
じゃあ、僕のおすすめ公演についてちょっとお話ししようか?
ガル:
...お願いしますガルーーーっっっ!!!
そんな会話から始まった【ガル部長のお勉強】。大村さんオススメの公演を教えてもらいながら、北欧とロシアの音楽について学びます。皆さんもぜひ、プログラムと照らし合わせてお楽しみください!
まずはやっぱり、スウェーデンからやってくる大編成オーケストラ、エーテボリ歌劇場管弦楽団(以下、エーテボリ菅)でしょう!ガルちゃん、OEKの楽団員は何人か知っているかい?
ガル:
40人!
ご名答!さすがよく知っているね。エーテボリ管はなんと90名。いつも聴いていただいているOEKとはまた違ったオーケストラの魅力を知ることができるんだ。
ガル:
(恐る恐る)お、大村さん...人数が増えるとどう変わるガルか?音が大きくなる...?
大村:
それもそうだけど...そうだ、絵画をイメージしてごらん。
オケが大編成になるということは、パレットに、赤、青、黄、どんどん絵の具の種類が増えていくようなものなんだ。そのパレットから生まれる絵が色彩豊かになることは想像できるね!
ガル:
わぁぁ!あっ、絵といえば、エーテボリ菅の最初の公演 [公演番号:C12] は『展覧会の絵』ガルね!
※最下部に公演の概要を記載しております。
大村:
そう。『展覧会の絵』は、ロシアの作曲家ムソルグスキーがピアノ組曲として書いたのだけど、それをラヴェルが管弦楽のために編曲したのが今回の演目なんだよ。
ガル:
ラヴェルさん...メモメモ
大村:
ラヴェルという人は、色を扱うのがとても上手な人なんだ。『オーケストラの魔術師』と呼ばれているんだよ。極彩色のパレット・エーテボリ菅が、色彩の魔術師・ラヴェルによる、しかも『展覧会の絵』を奏でる。素晴らしい公演でしょう?音楽堂のコンサートホールに鮮やかな絵画が浮かび上がる。そんな時間を楽しめるはずだよ。
ガル:
ガル、ちょっと勉強したガルよ!『展覧会の絵』って、ムソルグスキーさんがお友達の画家さんの遺作展を見て書いた曲ガルね。絵だけじゃなくて、絵と絵のあいだを見て歩くすがたも音楽になってるって聞いたガル。まるで物語ガルね...
大村:
ガルちゃんよく調べたじゃないか。実際に聴いてみた?聴いたことのあるメロディがたくさん出てこなかったかい?
ガル:
(激しく頷く)
大村:
『北欧とロシアの音楽』というととっつきにくいかもしれないけれど、実際には僕たちの生活の中にたくさん登場しているんだよ。
大村:
そうだ、物語といえば... [公演番号:C33] 台湾フィルハーモニックが演奏する、リムスキー=コルサコフ作曲の交響組曲『シェエラザード』も聴き逃せないよ。千の物語を王様に語って聞かせた王妃様の姿が、きっと映画のように脳裏に浮かぶのだろうなあ...ガルちゃん、こちらも知っているメロディがたくさん出てくるから、ぜひ聴いてみてごらん。
※最下部に公演の概要を記載しております。
ガル:
大村さんにもっともっと聞きたいガルっ!次は...これっ!これ、教えてガル!
大村:
おっ、僕もそれをオススメしようと思っていたんだ。さすがだね、ガルちゃん。
ガル部長、大村さんのお話にすっかり魅せられてしまったようです。
さあ、二人が次におしゃべりするのは、どの公演についてでしょうか...?乞うご期待!